『塩狩峠』[ かくれんぼ ]75 とねだっている。それ……

とねだっている。それをきいているうちに信夫はひどく寂しくなってきたのだ。信夫には美乃がどんな子供でどんな家に住んでいるかもわからない。どんな魚がその家にあるかもわからない。しかし、母の待子には、よくわかっているのだ。自分の知らない人たちや、知らない家の話を、話し合っている二人に信夫は嫉妬した。自分だけが母の子でないような、ひがみすら感じた。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『塩狩峠』[ 母 ]155 「まあ」……

  2. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](一)12 と、尋ねる言葉だった……

  3. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](二)46 つんとする香也子に、……

  4. 『塩狩峠』[ 母 ]99 トセは怒った。……

  5. 『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](四)5 子供っぽく、ぴょこり……

  6. 『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](五)72 笑ってごまかすツネに……

カテゴリー

アーカイブ